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外伝のようなそれを、買って気付いた。
本編が昨年終わっていた・・・。
昨日は持っていた16巻を読み返し、本日は残り8巻(2巻見つからず)購入して読破。
謎が完全解明されていなかったのですが、面白かった~v
残された謎は、次シリーズは解明されるらしいので次期待したいと思います。
でも●帝が亡くなったのがショックだ。
結構あの夫婦好きだったのに。
しっかし、1年前に終了した本って探すの大変ですね(当然だけど)
古本屋で見つけられず、しかたなく普通の本屋に行ったら24~26巻までしか置いてないし。
まったく欠片もない本屋もあって、悲しかった。
発見できなかった巻はあまぞんさんにお願いするしかない。
通販万歳っ!
ってな感じの休日を過ごしてしまったので、最後まで書けなかった。
う~ん、残念。
あと残りは3話(もしかしたら2話)で終わりです。
長くなってしまいましたが、あと少しです。
もうちょっとだけお付き合いくださいね。
では、陽だまりの唄8をどうぞ~
陽だまりの唄 8
ずっとなんて無理だとわかっている。ただほんの少しだけ、ナルから身を隠せれば良かった。
だから建物に沿って歩いたのではすぐに見つかってしまうと、横道にそれてみた。しかしそれがそもそもの間違い。
がむしゃらに走り回って、ふと我に返った麻衣は辺りを見回し叫んだ。
「ここはどこ!?」
右を見ても緑。左を見ても緑。さっきまで人工物溢れる場所であったのに、いつの間にやら周りには自然が溢れている。なんで研究施設のくせに林があるのだと麻衣は頭を抱えたくなった。
しかもぐるりと見回しているうちに、自分がどっちから来たのかわからなくなってしまったのだから最悪だ。
『迷子』の単語が脳裏に浮かぶ。
良く考えてみれば、ここの事を麻衣は何も知らない。知っているのはまどかに捕獲された廊下からナルの研究室までの道のりだけだ。それなのに外に出て走り回れば、今の状態は当然の結果と言えよう。
常々誰かさんに言われている『考えて行動しろ』の言葉が、麻衣の頭をガツンと叩く。
(まったくその通りです、所長・・・)
逃げたいのに見つけて欲しいなんて、情けなさ過ぎる。今回ばかりはナルに馬鹿だと言われても反論できない。
ぺたりと緑の芝の上に座り込み、大きく息をつく。踵に痛みを感じ水色のサンダルを脱ぎ捨てた。見てみると赤くなっている。靴擦れだ。他人の身体と言う事をすっかり失念していた。
「ごめんね」
じんじんと痛む踵を撫でながら、聞こえてはいないと思いつつも謝罪の言葉を口にした。
そういえば、この子の意識はどうなっているのだろうか。麻衣がここで動き回って2時間ほど経つが、少女の意識はずっと沈んだままだ。この子が目を覚ませば、麻衣は必然的に元に戻れるのだろうか。それとも麻衣がいることで押さえ込んでしまっているのだろうか。だとしたら、自ら出て行かない限りこの子は目覚めはしないのではないか。そう考えた麻衣は、憑依の実体験を思い出し顔を蒼褪めさせた。あれは体力気力をひどく消耗するのだ。
「あわわ、ごめん、ごめんね。どどどどうしよう。ナルナルナルっ!!」
ナルの名前を連呼してオロオロと辺りを見回すがそう都合よく現れるわけはなく、麻衣の甲高い声は緑に吸い込まれるように消えていく。
と、そこに第2の声が割り込んだ。
「どしたの?どっか、いたいいたいした?」
「うわっ」
舌足らずな声に後ろを振り向くと、黒髪黒目の4、5歳くらいの少年が麻衣を見つめていた。あまりの近さに思わず後ろにのけぞる。
「亮太、どうした?」
「あ。にいちゃんっ!」
今度は小学校高学年位だろうか、こちらも黒髪黒目の少年が林の奥から現れた。その少年に亮太と呼ばれた子供は満面の笑みを浮かべて走り寄ると、麻衣を指差した。
「いたよ~」
「あ!お前おっせーよ」
「はい?」
「あんまり遅いからどうしたかと思っただろう。で、どうだった?」
「どうだったぁ?」
目線を合わせるべくしゃがみこんだ少年は、幾分興奮気味に麻衣に問いかけた。亮太も少年の真似をして繰り返す。だが何の話だかわからない麻衣は眉根を寄せた。
「え、えっと・・・なにが?」
「なにがって、2時間前に廊下で言っただろう。伝えたからここに来たんじゃないのか!?」
「のかー!」
2時間前の廊下といえば、原因はわからないがここに来た頃。だがあの時麻衣の他に誰もいなかった。つまりあの直前にこの子供たちに会っていたと言う事か。きっとその時何かを約束したのだろう。
不可抗力の結果だが、それはこの子供たちには関係のないことだ。約束を破ってしまったのなら謝らなければならない。
「ご、ごめん」
素直に頭を下げ、そっと少年の顔を伺うと頬を膨らませ麻衣を睨みつけていた。
(ああああ~、怒ってるぅ)
まさか憑依することでこんな弊害があるとは思わなかった。もう2度とないとは思うけど覚えておこう。
「あの、その・・・どんな約束だっけ?今から何とかなるかな?」
ちょっと忘れちゃった~とへらりと笑って尋ねれば、某御仁を思わせるような一言が飛んできた。
「お前、馬鹿だろう」
「ばか~」
子供と言えども結構ムカつく。
ひくりと口元を歪ませ、麻衣はもう一度「ごめんなさい」と呟いた。内心拳を握ったのは内緒だ。
「ま、いいや。こういうことは急いじゃいけないって、父さん言ってたし。」
「うん。いってた」
「仕方ないからもう一回説明してやる。今度こそ忘れんなよ」
「わすれんなよー」
「亮太うるさい」
「うりゅ・・・」
語尾を繰り返す弟を叱咤し麻衣を見下ろすと、少年は親指をくいっと上に向けた。
「でも誰か来るかもしんないから、上行こうぜ」
「上?」
ってどこ?と尋ねると、なんら捻りもない答えが返ってきた。すなわち「木の上」と。
◆ ◇ ◆
麻衣が途方に暮れた場所から5分ほど歩いた場所に、太い枝と多くの葉を茂らせた一際大きな木があった。ここがこの兄弟の遊び場なのだという。
兄の陽一と弟の亮太は父親がアメリカ人、母親が日本人のハーフ。父親がここの研究員ということで、ちょくちょく遊びに来ているらしい。そして驚いたことに、その人物こそがナルの娘の本当の父親だと噂された人物だという。
「はい」
陽一の手を借りて木の上に上った麻衣は、目の前に突きつけられた絆創膏に目を瞬かせた。熊の絵柄のかわいいそれと、笑顔の亮太を見比べる。
「あし、いたいんでしょ。あげる」
「あ、ありがとう」
絆創膏を受け取り礼を言うと、亮太はますます嬉しそうに笑った。つられるように麻衣も笑顔を浮かべるが内心どうしようかと困惑する。何せここは木の上で絆創膏を貼るにはいささか不安定な場所。ひとつ間違えばこの高さから真っ逆さまに落下という、洒落にならない事態になりかねない。もしそんなことになったら、違う意味でナルに顔向けできない。
「亮太。それ麻衣から貰ったやつだろ。宝物って言ってなかったっけ?」
「いいんだ。またもらうから」
「ふうん」
陽一が話しかけたことによって亮太の意識がそれた。麻衣は慌てて絆創膏をポケットにしまおうとしたが、聞き覚えのある固有名詞にその動きをぴたりと止める。今『麻衣』と言わなかったか?
「あの」と声をかけると、2対の黒い瞳が麻衣を見つめた。
「今、麻衣って言った?もしかしてそれって、谷山麻衣?」
「谷山ぁ~?」
「ちがうよ。まいは、えっとデ・・・デイなんだっけ?」
「デイヴィス。麻衣・デイヴィス、お前のママだろ」
本当におれの言ったこと忘れてんだな。陽一が怒ったように呟いたが、思考が瞬間冷却した麻衣の耳には届いていなかった。
「どうしたの?」
急に表情の抜け落ちた麻衣を亮太は不思議そうに覗き込んでくる。それに首を振るだけでなんでもないと伝えるけれど、言葉が脳内に浸透するとパニック復活だ。
(やっぱり?やっぱりそのうなの!?)
同じ顔の人間はこの世に3人いるという。もしかしたら麻衣に良く似た人物かもしれない。ありえないと思いつつも心の奥底にあった限りなくゼロに近い悪足掻きは、この兄弟の言葉によって呆気なく霧散した。
顔が同じで名前も同じ。こんな偶然あるわけがない。ならば残された答えはこれしかない。
(あたし、本当にナルと結婚してるんだ)
認めてしまえば、不思議なことにその言葉はすとんと麻衣の心に落ちた。
動揺がないといえば嘘になる。何でどうしてと言った疑問は湧き上がるし、ジーンの事を思うと胸が痛い。けれど否定する気持ちは浮かばなかった。ありえないと思っていたことなのに不思議だ。
思わず何でかなぁと遠くを見つめてしまう。だが次に聞こえた一言は麻衣の意識を強引に引き戻し、ついでに鈍器を頭に振り落とした。
「でも、もうすぐぼくたちのママになるけどね」
亮太が満面の笑顔でそう言った。
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陽だまりの唄 8
ずっとなんて無理だとわかっている。ただほんの少しだけ、ナルから身を隠せれば良かった。
だから建物に沿って歩いたのではすぐに見つかってしまうと、横道にそれてみた。しかしそれがそもそもの間違い。
がむしゃらに走り回って、ふと我に返った麻衣は辺りを見回し叫んだ。
「ここはどこ!?」
右を見ても緑。左を見ても緑。さっきまで人工物溢れる場所であったのに、いつの間にやら周りには自然が溢れている。なんで研究施設のくせに林があるのだと麻衣は頭を抱えたくなった。
しかもぐるりと見回しているうちに、自分がどっちから来たのかわからなくなってしまったのだから最悪だ。
『迷子』の単語が脳裏に浮かぶ。
良く考えてみれば、ここの事を麻衣は何も知らない。知っているのはまどかに捕獲された廊下からナルの研究室までの道のりだけだ。それなのに外に出て走り回れば、今の状態は当然の結果と言えよう。
常々誰かさんに言われている『考えて行動しろ』の言葉が、麻衣の頭をガツンと叩く。
(まったくその通りです、所長・・・)
逃げたいのに見つけて欲しいなんて、情けなさ過ぎる。今回ばかりはナルに馬鹿だと言われても反論できない。
ぺたりと緑の芝の上に座り込み、大きく息をつく。踵に痛みを感じ水色のサンダルを脱ぎ捨てた。見てみると赤くなっている。靴擦れだ。他人の身体と言う事をすっかり失念していた。
「ごめんね」
じんじんと痛む踵を撫でながら、聞こえてはいないと思いつつも謝罪の言葉を口にした。
そういえば、この子の意識はどうなっているのだろうか。麻衣がここで動き回って2時間ほど経つが、少女の意識はずっと沈んだままだ。この子が目を覚ませば、麻衣は必然的に元に戻れるのだろうか。それとも麻衣がいることで押さえ込んでしまっているのだろうか。だとしたら、自ら出て行かない限りこの子は目覚めはしないのではないか。そう考えた麻衣は、憑依の実体験を思い出し顔を蒼褪めさせた。あれは体力気力をひどく消耗するのだ。
「あわわ、ごめん、ごめんね。どどどどうしよう。ナルナルナルっ!!」
ナルの名前を連呼してオロオロと辺りを見回すがそう都合よく現れるわけはなく、麻衣の甲高い声は緑に吸い込まれるように消えていく。
と、そこに第2の声が割り込んだ。
「どしたの?どっか、いたいいたいした?」
「うわっ」
舌足らずな声に後ろを振り向くと、黒髪黒目の4、5歳くらいの少年が麻衣を見つめていた。あまりの近さに思わず後ろにのけぞる。
「亮太、どうした?」
「あ。にいちゃんっ!」
今度は小学校高学年位だろうか、こちらも黒髪黒目の少年が林の奥から現れた。その少年に亮太と呼ばれた子供は満面の笑みを浮かべて走り寄ると、麻衣を指差した。
「いたよ~」
「あ!お前おっせーよ」
「はい?」
「あんまり遅いからどうしたかと思っただろう。で、どうだった?」
「どうだったぁ?」
目線を合わせるべくしゃがみこんだ少年は、幾分興奮気味に麻衣に問いかけた。亮太も少年の真似をして繰り返す。だが何の話だかわからない麻衣は眉根を寄せた。
「え、えっと・・・なにが?」
「なにがって、2時間前に廊下で言っただろう。伝えたからここに来たんじゃないのか!?」
「のかー!」
2時間前の廊下といえば、原因はわからないがここに来た頃。だがあの時麻衣の他に誰もいなかった。つまりあの直前にこの子供たちに会っていたと言う事か。きっとその時何かを約束したのだろう。
不可抗力の結果だが、それはこの子供たちには関係のないことだ。約束を破ってしまったのなら謝らなければならない。
「ご、ごめん」
素直に頭を下げ、そっと少年の顔を伺うと頬を膨らませ麻衣を睨みつけていた。
(ああああ~、怒ってるぅ)
まさか憑依することでこんな弊害があるとは思わなかった。もう2度とないとは思うけど覚えておこう。
「あの、その・・・どんな約束だっけ?今から何とかなるかな?」
ちょっと忘れちゃった~とへらりと笑って尋ねれば、某御仁を思わせるような一言が飛んできた。
「お前、馬鹿だろう」
「ばか~」
子供と言えども結構ムカつく。
ひくりと口元を歪ませ、麻衣はもう一度「ごめんなさい」と呟いた。内心拳を握ったのは内緒だ。
「ま、いいや。こういうことは急いじゃいけないって、父さん言ってたし。」
「うん。いってた」
「仕方ないからもう一回説明してやる。今度こそ忘れんなよ」
「わすれんなよー」
「亮太うるさい」
「うりゅ・・・」
語尾を繰り返す弟を叱咤し麻衣を見下ろすと、少年は親指をくいっと上に向けた。
「でも誰か来るかもしんないから、上行こうぜ」
「上?」
ってどこ?と尋ねると、なんら捻りもない答えが返ってきた。すなわち「木の上」と。
◆ ◇ ◆
麻衣が途方に暮れた場所から5分ほど歩いた場所に、太い枝と多くの葉を茂らせた一際大きな木があった。ここがこの兄弟の遊び場なのだという。
兄の陽一と弟の亮太は父親がアメリカ人、母親が日本人のハーフ。父親がここの研究員ということで、ちょくちょく遊びに来ているらしい。そして驚いたことに、その人物こそがナルの娘の本当の父親だと噂された人物だという。
「はい」
陽一の手を借りて木の上に上った麻衣は、目の前に突きつけられた絆創膏に目を瞬かせた。熊の絵柄のかわいいそれと、笑顔の亮太を見比べる。
「あし、いたいんでしょ。あげる」
「あ、ありがとう」
絆創膏を受け取り礼を言うと、亮太はますます嬉しそうに笑った。つられるように麻衣も笑顔を浮かべるが内心どうしようかと困惑する。何せここは木の上で絆創膏を貼るにはいささか不安定な場所。ひとつ間違えばこの高さから真っ逆さまに落下という、洒落にならない事態になりかねない。もしそんなことになったら、違う意味でナルに顔向けできない。
「亮太。それ麻衣から貰ったやつだろ。宝物って言ってなかったっけ?」
「いいんだ。またもらうから」
「ふうん」
陽一が話しかけたことによって亮太の意識がそれた。麻衣は慌てて絆創膏をポケットにしまおうとしたが、聞き覚えのある固有名詞にその動きをぴたりと止める。今『麻衣』と言わなかったか?
「あの」と声をかけると、2対の黒い瞳が麻衣を見つめた。
「今、麻衣って言った?もしかしてそれって、谷山麻衣?」
「谷山ぁ~?」
「ちがうよ。まいは、えっとデ・・・デイなんだっけ?」
「デイヴィス。麻衣・デイヴィス、お前のママだろ」
本当におれの言ったこと忘れてんだな。陽一が怒ったように呟いたが、思考が瞬間冷却した麻衣の耳には届いていなかった。
「どうしたの?」
急に表情の抜け落ちた麻衣を亮太は不思議そうに覗き込んでくる。それに首を振るだけでなんでもないと伝えるけれど、言葉が脳内に浸透するとパニック復活だ。
(やっぱり?やっぱりそのうなの!?)
同じ顔の人間はこの世に3人いるという。もしかしたら麻衣に良く似た人物かもしれない。ありえないと思いつつも心の奥底にあった限りなくゼロに近い悪足掻きは、この兄弟の言葉によって呆気なく霧散した。
顔が同じで名前も同じ。こんな偶然あるわけがない。ならば残された答えはこれしかない。
(あたし、本当にナルと結婚してるんだ)
認めてしまえば、不思議なことにその言葉はすとんと麻衣の心に落ちた。
動揺がないといえば嘘になる。何でどうしてと言った疑問は湧き上がるし、ジーンの事を思うと胸が痛い。けれど否定する気持ちは浮かばなかった。ありえないと思っていたことなのに不思議だ。
思わず何でかなぁと遠くを見つめてしまう。だが次に聞こえた一言は麻衣の意識を強引に引き戻し、ついでに鈍器を頭に振り落とした。
「でも、もうすぐぼくたちのママになるけどね」
亮太が満面の笑顔でそう言った。

